未来食堂に弟子入りしてきたら、テレビ出演してしまった話。
「あなたのふつうをあつらえます」
飲食店の常識を壊し続け、だれもが受け入れられる場所をつくる「未来食堂」
オーナーであり、経営者小林せかいさんのもとで、1日密着弟子入りをさせていただきました。
きっかけはETIC. の「どすこい起業家プログラム」
ネーミングはギャグだと思ったが(すみません)
名だたる起業家たちに1日弟子入りできるすごいプログラムだった。
もし自分の尊敬する人がいるのであれば、是非2期目で応募してみてほしい。
ETIC. のみなさま大変お世話になりました。
◎はじめての、未来食堂。
開業当時からずっと気になっていて
これまでの開業日記や事業計画書をよく読んでいた。
将来、食という分野で何かしたい私にとって、絶対に訪れるべき場所だったのに
それでも忙しいことを言い訳に、実際に足を運ぶことはなかった。
人は基本「いつかやろう」と思ってることはやらない。
今回、ETIC.の力を借りて、半ば強制的に未来食堂への1歩を踏み出した。
事前に未来食堂へ行くことが、弟子入りの条件。
ということで、いそいそと未来食堂がある神保町へと向かった。
◎あいさつを兼ねて、ごはんを食べに。
未来食堂は神保町駅近くの、地下飲食店街にある。
地下街に潜っていく感覚が、なんだか私しか知らない場所にいくようでわくわくする。
階段を降りるとメニューの書かれた看板。今日は"炙り鮭ハラス定食"
憧れた「未来食堂」の文字に緊張しながら、そろりとドアをあける。
「いらっしゃいませ。お食事ですか?」
席に座るより前にそう聞かれ、緊張しながら「は、はい!」と返答。
せかいさんだ!本物だ!有名人を目の前にしたときの気分だった。
席に座ると同時に、小鉢がのったお盆が渡される。
カウンターから客席に置くのは難しいので、お客さんが直接手で受け取る。
「ごはんはおひつからついで下さい。今日は節分なので豆ごはんになります。」
ごはんはおひつから、自分の好きなだけよそえる。おかわり自由。
少食な人も自分で調整でき、たくさん食べたい人にも嬉しい仕組みだ。
美味しそうなほかほかの節分豆のごはん。
お店で自分でごはんをよそうのって、なんだか新鮮。
私がごはんをよそうのにあたふたしてる間に、
メインの炙りハラスと鶏ガラのミルクスープが差し出される。
席に座ってからほんの2~3分。驚きの早さだ。
メインに汁物とごはん、小鉢3つがついて900円。2回目からは800円。
思えば、ひとりで、しっかりとご飯を食べるのは久しぶりかもしれない。
みんなで同じ食卓を囲んでわいわい食べる。
夜も大体、友人や家族とごはんを食べている。
だから「ひとりで食べるごはん」はなんだか新鮮だった。
そして未来食堂はひとりでも孤独感を感じなかった。
無駄に話しかけるでもなく、かといって存在を無視するわけでもなく。
漂う空気、そこにいる人、ごはんの香り。周りを気にせずにいられる場所。
不思議な感覚。
そしてひとりだと、「食べる」という行為自体に集中できる。
誰かと外食にいくとどうしても話に集中してしまうし、食べるスピードも合わせなきゃいけない。
私はゆっくりごはんを食べる方なので、友達を待たせまいといつも最後の方は焦ってかきこんでいる。
「もっと味わいたいのになあ」という気持ちに苛まれることもしばしば。
未来食堂は日々のそんな外食の不満に気付かせてくれた。
ひとりも、悪くないなあ。
食べ終わったときを見計らって差し出されたのは、
未来食堂は、お酒や飲み物などの持ち込み料タダの代わりに、
半分を他のお客さんとシェアする「おすそわけ」という仕組みもあるのだ。
誰が持ってきてくれたのかはわからないけど、
誰かの誰かを想いやる気持ちに「ありがとう」を込めながらいただいた。
おなかもいっぱいになって、
最後、席を立つ時にせかいさんの2冊目の書籍が目に入る。
「ただめしを食べさせる食堂が、今日も黒字の理由」
弟子入りまでに予習しよう、とすぐさま購入。
すると後ろのページにイラストつきの「ただめし券」がついていて、
図らずも私は「初ただめし」を食べさせてもらったのだった。
そして、目的であった弟子入りの挨拶をすっかり忘れていたのだった。
未来食堂、ご挨拶に行ったのですがごはん美味しすぎて挨拶忘れてきてしまいました。今日も幸せです。弟子入り楽しみ。 pic.twitter.com/0coAdlvdWG
— ぽんすけ/世界食堂 (@Pyooooon13oc) 2017年2月2日
店頭で購入すれば、ただめし券がGETできるが遠方の方は以下をチェック
▶本の購入はこちらから:https://goo.gl/aHBlZ1
帰り道は、新しい出会いにわくわくしながら購入した本を読んだ。
読書が苦手な私がこんなに早く1冊を読めたのは初めてかもしれない。
遠い存在だった「せかいさん」がどんな人なのか、
何を大切にしているのかが少しだけ分かった気がした。
◎ついに!まかないさん初挑戦
数日後。
今回は食べるのではなく、働く側として未来食堂に関わった。
50分働けば、1食タダになる仕組み。
未来食堂的にいうと、「まかないさん」としてお手伝いをすることで「ただめし」がたべられるのだ。このおかげで、従業員はゼロ。人件費もゼロ。
未来食堂では、日々年齢も性別も様々なまかないさんが未来食堂で働いている。
中学生や外国の方でも可能とのこと。(きになる方はこちらをチェック:まかない - 未来食堂)
※ 今回はETIC. のプログラムで参加しているので50分ではなく、終日働いていました。
お昼時の11:30。
爪も切ったし、まかないガイドもしっかり読んだ。
10分前に未来食堂に到着する。
お客さんはすでにたくさん入っているものの、なんだか騒がしい。
せかいさん「今日ガイアの夜明けの撮影きてるので」
えええええええええええ
テレビ撮影きたああああしかもガイアああああ大御所おおおおおお
初まかないさん&テレビ撮影で二重の緊張。
テレビ東京の方に撮影許可をしてもらいながら、おろおろしていると、
せかいさん「そこの棚にエプロンとバンダナが入っているので、トイレで着替えてきてください」
お店はすでに忙しそうで、大変なときに来てしまった!と思いながらも、
急いでエプロンを着用し手を綺麗に洗う。
「今日は客席のサポートをお願いします。私が何度か見本を見せるのでやってみてください」
明確な指示が飛んでくる。客席側に立ち、
せかいさんの見よう見真似でメニューの説明や、おひつごはん/お盆の受け渡しをする。
せっかくガイアの夜明けに映ったので、その画像を使わせてもらおう。
おひつごはんが空になりそうだったら、せかいさんにごはんをついでもらいます。
(ちなみに自分でテレビ放送見ながら写真撮ってました。これぞブロガー精神。)
未来食堂のメニューは1種類だけ。そして毎日変わる(手書きのメニューがかわいい)
オーダーを取る必要がなく、材料も予め用意しておけるので、席に座って早くて1分くらいで提供できるのだ。だからこそ食材ロスも圧倒的に少ない。
自分が食べたいメニューの日を選ぶのも、なんだか楽しい。
少しお客さんが落ち着いて一息ついていると、
「手が空いたら、汚れているなと思うところをふいてください」
せかいさんから布巾を受け取る。これこそ、未来食堂が常に綺麗な秘訣。
よくある飲食店の厨房って、換気扇が黒くなっていたり、壁に油シミがついていたりする。
でも未来食堂はそれがほとんどない。なぜどこもピカピカなのか。
それは、手が空いた人が丁寧に、拭き掃除をしているから。
両親の揚げ物屋さんでも、よくこうやって手伝ってたなあと懐かしい気持ちになりながらふきふき。
...しかしこれだけでは終わらない、今回の未来食堂。
◎普段できないようなレアまかないさん経験
15時からは、せかいさん3冊目の書籍の打ち合わせで、お店が貸し切りに。
私は箸袋を作成しながら、せかいさんと編集者さんのミーティングに耳を傾ける。
構成や、題名決めの話し合いなど、ここでは詳しく書けないが、
リアルな本の編集の仕方を垣間みれた。
3冊目の本、楽しみだ。
ガイアの夜明けの撮影も少しばかりお手伝いできた。
せかいさんが編集者の方と話している間に、テレ東さんたちによる
ぶつ撮り=「ごはんをいかに美味しそうに撮るか」が行われた。
定食のまわりに光や反射台、カメラをセット。大がかりだ。
実際の映像...の写真。笑
食べ物のキラキラ、ジューシーさ、ゆげなどを出すために、
あつあつのものを置いて、すぐに撮影を行う。
食べ物を温めて、出す!という作業を少し手伝わせていただいた。
使われるのはほんの数秒なのに、この本気さ。
プロってすごいなあとただただ感動した。
◎ライフネット生命、出口さんとのご対談
書籍の中にその内容を少し盛り込むとのこと。
▼以前行われたせかいさんと出口さんの対談もかなり面白いので要チェック
私はただ驚いた。ほんの最近、出口さんの本を読んだばかりだったからだ。
▼働く君に伝えたいお金の教養(著者:出口治明)
せかいさんからも私に声をかけていただき、本を読んでいることを伝えると
握手してもらい、名刺までいただき、とてもとても嬉しかった。
出口さんは、とても物腰柔らかで、大らかな雰囲気。
普段は書籍を読まない自分が、本を読んでいてよかったと思った瞬間だった。
こんな著名人が未来食堂にいらっしゃったり、ガイアの夜明け撮影クルーがいたり、書籍出版の編集の方が来たり、もうわけが分からなくなっていた。
出口さんとせかいさんの対談もきっとこれから本に載るため、ここでの学びの共有は難しいけれど、
これからやりたいことを探したり、やりたいことに挑戦したい人たちには是非伝えたい内容となっていた。
みんな、本を買おう。
◎「おなかすいてますか?」せかいさんの価値観が垣間見えたお話
取材中、貸切にもかかわらず1名の女性がお店にやってきた。
普通であれば「今日貸切なので…」とお断りするであろう。
でも取材中のせかいさんは話を中断し、お客さんにこう話しかける。
「おなかすいてますか?」
はい、と答える女性に
「あるもので良ければ」と余っていたごはんやお味噌汁、納豆や卵をお渡しする。
取材貸切中なのに、追い返さないんだ。
正直、驚いた。
女性は「忙しくて、お昼何も食べられなくて...」とのことだった。
「おなかがすいている人を追い返すわけにはいかない」
そう話すせかいさんの温かい優しさに、心を打たれた。
愛想がないとか、機械的とか、そうやって言う人もいるみたいだけど、
せかいさんはとても愛情のある方だって、一緒に働いてて気付けた気がする。
このあとも何度かお客さんが訪れ、おなかがすいてる人にはありあわせのものでごはんを提供していた。
納豆が切れたら、お客さんにお金を渡して上の階のコンビニで買ってきてもらうという
未来食堂っぽい、ユーモア溢れる一面にも触れられた。
初めてのまかないは、色んなイベント盛りだくさんで
きっと思い出深いものになるんだろうな。
この日にまかないさんができてよかったなあ。
せかいさんとの距離は少し近付いたかなあ。
次はいつにしようか。
そう思いながら、帰路についた。
◎後日談
ガイアの夜明け、ばっちり映っていました。
たまたま見ていたであろう友人たちが「ぽん映ってるよ!」と報告してくれました。
いつか、自分の事業で取り上げられるように。日々精進します。
ちなみにこの記事を書いている間にも
また2回目のまかないさんとして、未来食堂のお手伝いをしてきた。
今回は朝の8時半からの仕込みから、昼までのまかない。
朝はお鍋をかきまぜたり、小鉢を綺麗に盛ったり。
単純そうな作業でも細かい工夫がなされていた。
保健所の検査を受ければ、食材も触らせてもらえたりメニュー考案もできるとのこと。
ガイアの夜明け放送の翌日だったのだが、
今度は「カンブリア宮殿」の撮影が入る。テレビの遭遇率!笑
大学生まかないさんということで、ちょっとした密着をしていただく。
カメラで撮られながらまかないごはんを食べたり、行動するのがいかに緊張するかを知った。
うつるかな?テレビにはそんなに期待はしないでおく。
恥ずかしいので放送日は伏せます。もし見かけたらこっそりにやけておいて下さい。
テレビ東京の方々、とてもいい人たちでした(あ、別に言わされてないよ)
◎ぽんこつのただめし券の行方
まかないで50分働いてもらえる「ただめし券」は、
自分でつかうこともできるけど、友達にあげることもできるし、
知らない誰かのために置いておくこともできる。
誰かのために貼られたただめし券たち。誰でもいつでも、その場で使うことができる。
※ただし1名で来店したときのみ。持ち帰りも厳禁。
私は今回のまかないで長く働いたので、2枚もらうことができた。
1枚は友人にあげる用、もう1枚はここに貼らせていただいた。
ずっと貼りたかったので、念願の夢がかなった。
どこかの誰かが、このただめし券を使っておなかいっぱいになるといいなあ。
未来食堂は「ただめし」「あつらえ」「おすそわけ」など
色々な面白い仕組みでメディアやテレビに注目されることが多い。
でもそれ以上に細かいせかいさんのこだわりだったり、優しさだったり。
これだけの信念が、多くの人を惹きつけるのだなあと感じた。
私もせかいさんくらい、
自分の信じるものは誰よりも自分が信じていたい。
誰になんと言われようが、自分を持ち続けていたい。
未来食堂は、そう思わせてくれる場所だ。
また迷ったら、未来食堂にいこう。
いつかせかいさんに、「夢が叶った」と胸を張って言いに行けるように。

左:ぽんこつと、右:せかいさん。てぬぐいは未来食堂スタイル。
引き続き、一緒に食べに行ってくれる方募集しています。
ぽん